どこへゆくんだい?
不安そうな目でこっちを見ている私がいった。
べつに、どこへも行かないよ。
たださ、こっちの道へは何があるか分からないから、
見てみるだけだよ。
それじゃあ、いつまでたっても目的地に着きやしないじゃない。
ほら、あそこ。あれがモクテキチ。
私が指さす先には地面にささった標識のようなものが見える。
わたしは、ふーんとつまらなそうな息を出して
そんなの、興味ないもの。と呟いた。
どうして?もうすぐモクテキチなのに。
つまらなそうなわたしは、しばらく下を見ていると、はっと目に輝きが灯り、
道の端に転がっていた石をめくり出した。
また変な事を思いついたのか、と呆れていると、
ほら、みて、こんなところにミューズがいた。と、
石の裏の暗闇を指差してわたしが言う。
ミューズ?あの、薬用せっけんの?
ちがうよ。ミューズはミューズだよ。私に伝えたいことがあるみたいだよ。
私はそっと石に近づいていき、ミューズの顔をのぞきこんだ。
ミューズの唇はめらめらと動いた。
「*%^$@%@」
言葉ではない言葉 発音 音
その音は飛んでいき私のいる空間を踊った。
白と黄色とだいだい色を混ぜたクリーム色の空間を浮遊して
ちいさな花火みたいにあたたかく弾けていく。
ほらね、おもしろいでしょう?
私のくちびるがそう言うと
紙のうえに描かれたミューズは笑った。
0 件のコメント:
コメントを投稿